インテリアデザイナーのアンナ・フォン・シェーヴェンと工業デザイナーのビヨーン・ダールストローム夫妻は、時には共同で、時には個別に仕事に取り組んでいます。二人はString Furniture のためにオフィスシリーズWorks™️をデザインした他、String® SystemとString® Pocketに新しいパーツやアクセサリーを追加し商品を発展させてきました。アンナとビヨーンのおかげで、String®はこれまで以上にあらゆる部屋で機能し、様々な使い方ができるようになりました。

アンナとビヨーンが2011年にString Furnitureとのコラボレーションを始めたとき、すでにString® Systemはアイコニックな製品でした。カイサ&ニルス・ストリニング夫妻のシェルフは、1949年に発売されるとすぐに人気となり普及していきました。そしてスウェーデンの多くの家庭で使われるようになり、世界的にも知られるようになりました。そのためスウェーデンで生まれ育ったアンナとビヨーンのDNAには、String が組み込まれていると言っても過言ではありません。それによって安易に尊敬心を抱きがちですが、彼らはそうではなくString®に対して深い理解を示すことができました。

ビヨーンはこう説明します。「String®のように商品を成長させる場合、もとのデザインに執着しすぎるとリスクが大きいです。このケースでは、はしご状のサイドパネルが良い例でしょう。5mm幅のワイヤーをベースに多くの製品を開発するだけでは、何の変哲もないものになってしまいます」。

もう一つ、二人が気づいたことは、クリエイティブなプロセスを急がないことの重要性でした。

「ビヨーンと私はString®について長い時間をかけて話し合いました。そしてブランドの背景にあるコンセプトを発展させたいという真の目標を共有することができました。また新しいものを生み出す際、常に品質へのこだわりを失わないようにしています」とアンナは言います。

では、クリエイティブなアプローチのポイントとは何でしょうか? String®はクラシックなデザインですが、とは言え時代を超えたスタイル、時代を超えたニーズを満たすことが大切なのではないでしょうか?

「String®を使うことで効果的な収納を叶えることができます」とアンナは言います。「収納は誰にとっても必要ですが、収納へのニーズは時代とともに変化するため、その解決方法も時代に合わせたものが必要です」。

実用的であり、見た目の美しさがあり、さらには家具の表面を触ったときの感触など、さまざまな方法でそのニーズを満たすようなデザインを心がけてきたとアンナは言います。また彼らの仕事は決して美しさだけにこだわったものではありません。すべてにおいて機能が重要で、String®をどのように発展させるかによって、これまで以上にどんな部屋にも合う、多くの組み合わせを作ることができるかにつながっているのです。

String Furnitureのために制作された最初のデザインの一つが String® Systemの折りたたみ式テーブルでした。工業デザイナーであるビヨーンは、特別なちょうばんを開発するために多くの時間を費やし、特にそれを楽しみました。細部にまでこだわったこの折りたたみ式テーブルは、String®の原点である「スマートで美しい」を実現しています。これであっという間にシェルフがテーブルに変身します。これはコンパクトな生活をしたことがある人なら誰でも欲しくなる天才的な発明品です。

またアンナとビヨーンは、String®の未来を切り拓くために、シェルフの素材を一新するという課題を引き受けました。

薄いスチール板にパンチングで穴を開け、前端を20mm折り返すという実験を始めたところ、解決策を見出したそうです。

「折り目があることで安定感が増したと同時に、厚さ20mmの木製シェルフと視覚的に統一感が生まれました」とビヨーンは言います。

またパンチングされた穴は軽快な印象を与えるだけでなく、フックやレールなどの様々なアクセサリーを簡単にString®に取り付けることで、機能の可能性を広げています。

「このメタルシェルフによって、String®にもう一つ重要な基盤が加わりました。つまりString® Systemのシステム(仕組み)です」とアンナは言います。

機能の可能性を広げるアクセサリーの多くは、1949年からString®のサイドパネルに使用されているものと同じ、5mm幅のメタルバーで作られています。アクセサリーは過去と未来をシームレスにつなぐエレガントなアイテムなのです。

アンナとビヨーンがメタルシェルフやアクセサリーを追加する前から、String Furniture は、様々なパーツとカラーを使って、何千ものString®の組み合わせを構成できると伝えてきました。アンナとビヨーンのアイデアによって、より一層カスタマイズ可能な組み合わせが増えたと言えます。

またオフィスシリーズWorks™️をデザインする際、String® Systemの特徴である軽やかさと透明感を損なうことなく、壁から“切り離す”ことを望むオフィスデザイナーたちの要望に応えて、二人は新しいアイデアを考案しました。例えば上下昇降可能なワークデスクのフレームは、従来のデスクに比べて非常にスリムです。これはWorks™️のシリーズ全体に共通する特徴です。

String®とのこれまでの深い関わりは、二人にとって大きなインパクトとなりました。String®以外の仕事に関わりにくくなっていないのでしょうか?

「大丈夫です、私たちは二人とも他の多くのプロジェクトに携わっています」とビヨーンは言います。「とは言え、私は String®を使っている家で育ちました。だから私にとってString®は子ども時代の一部なんです」。

アンナも幼いころからString®とつながりがあると言います。

「母は私が生まれる前から、自分で幼稚園を設立し経営していました。そこの家具はニルス・ストリニング自身が設計したもので、カイサとニルスの子供たちも通っていたんです。また両親はニルスがデザインした小さなテーブルセットをいくつか持っていました。それは厚さ5mmのスチールワイヤーを立方体の形に曲げて作ったシンプルなベースに、塗装されたメゾナイト天板を乗せたものでした。

アンナ・フォン・シェーヴェンとビヨーン・ダールストロームのString Furniture とのコラボレーションは、運命的なものだったと感じます。この二人ほどString Furnitureの商品開発に適した人はいないのではないでしょうか。